2025年3月2日、テレビ新広島で開催された「みんなのテレビ アイデアをみんなで考えよう!2025」の会場は、緊張感と期待感に満ちていました。昨年度に引き続き、私はファシリテーターとして、子どもたちが持つ発想力やコミュニケーション能力を引き出す役割を担いました。
このイベントはテレビ新広島が主催し、Peace & Science Innovation Ecosystem(PSI)が共催するもので、テレビ番組の企画立案を通じて、子どもたちが自ら課題を発見し、解決方法を考え発表する、実践的なアントレプレナーシップ教育を目指しました。受付開始の10時30分、子どもたちは保護者とお別れし、やや緊張した様子で各グループで集まり、名札にニックネームを書きました。しかし、司会の中西敦子アナウンサーの明るく親しみやすい自己紹介や、私の「しくじり体験」トークが始まると、会場の雰囲気は一気に和やかになりました。アンケートには、「大野先生の自己紹介がおもしろかったので、最初の緊張がほぐれた」という声もあり嬉しかったです。
最初のチームビルディングの時間では、初対面同士の子どもたちで、「しくじり体験」紹介を中心に自己紹介をすることで、少しずつ打ち解けていく様子を私自身が各グループを巡回しながら感じました。子どもたちが互いに興味を持ち始め、協働する意欲が自然と湧き上がっている様子でした。
11時25分からは、西村キャンプ場ディレクターの麻倉良一先生(テレビ新広島)による「番組の作り方」の講演が行われました。麻倉先生はテレビ制作現場の具体的なエピソードや番組企画のコツ等を楽しくわかりやすく説明されました。次に私は、麻倉先生の番組企画の講演をベースに、アイデア創出のポイントを説明しました。アンケートには、「声が大きく、笑顔で明るくて聞き取りやすかった。スライドの文字が大きくて、分かりやすかった」という声もあり、やり甲斐を感じました。
昼のスタジオ見学では、子どもたちは普段入ることができないスタジオを訪れ、本物の撮影現場や機材を目の前に感動と興奮を隠しきれない様子でした。PSIが目指す「体験からのアイデア創出」につながる見学になったと感じますし、子どもたちにとって、メディアの世界が身近になりました。
午後のアイデア創出ワークショップでは、各グループが地域活性化をテーマに具体的な番組企画を考え、模造紙にまとめました。江田島市や三原市、廿日市市など、広島県内各地の魅力がカラフルに描かれ、子どもたちの斬新かつ実現可能なアイデアが詰まった作品に仕上がりました。各グループの学生メンターたちは自身の個性を活かしながら、魅力的なまとめ役として活躍してくれました。
プレゼンテーションの時間では、子どもたちは自らのアイデアを堂々と発表しました。
- 呉市グループは「呉を食べてクレ!」という地元グルメ番組。
- 三次市グループは「三次市いきあたりバッタリ」という地域めぐり番組。
- 三原市グループは「とつげき!!みはら検定」という地域エンタメ学習番組。
- 廿日市市グループは「みっちゃく宮島の魅力」という地域取材番組。
- 尾道市グループは「自然発掘!チャリンコ旅」という自転車めぐり番組。
- 江田島市グループは「江田島クッキンググランプリ」という料理対決番組。
という企画でした。
発表後には麻倉先生と共に講評を行い、良かった点を褒めつつ、さらに魅力的な番組企画になるような質問を投げかけ深めました。子どもたちはそのフィードバックを真剣に受け止め、番組企画への意欲がさらに高まっていました。
保護者のアンケート自由記述欄には、
- とても楽しそうにイベントの様子を話してくれました。普段人見知りな娘ですが、初対面の子達とも交流できて楽しかったみたいです。娘の成長がみられました。
- あまりみんなの前で意見を言ったり、初めての所に溶け込んでというのが得意ではないのですが、今回の内容が気になったのか行きたいというので応募させて頂きました。帰りに合流して一言目が、すっごく楽しかった!!行ってよかった!だったので、本当に行かせてよかったと思いました。
- みんなで考えて、発表する。というのも難しかったけどとても楽しかったと言っていました。 チーム担当の大学生の方の話がよく出て来たので、おとなしい子も上手にのせてくださっ たのだなと感謝しております。
などの感想が多数寄せられました。このイベントが、学校外での実践的なアントレプレナーシップ教育として、子どもたちの成長を促進する学び場となったと感じています。
今回のイベントでは、子どもたちが主体的にアイデアを生み出し、創造力、課題解決能力を実践的に養うことを目指しました。子どもたちの楽しそうな表情やチームでの協力の姿勢から、このイベントが子どもたちの将来につながる機会になったと感じています。