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大企業をやめてジャム屋になった人
TADASHI MATUSHIMA
株式会社 瀬戸内ジャムズガーデン/代表取締役
周防大島で年間170種のジャムを作っています。材料は50軒以上の地元の契約農家さんから供給を受ける多彩な農産物です。 都市部では作れない、この土地ならではのジャムを作るため、農家さんとの協力関係は欠かせません。例えば「完熟かぼすマーマレード」は、マーマレード専用に樹上追熟させる栽培方法に変更していただくことにより実現しました。
年間15万本のジャムを販売。その約6割は直営専門店「ジャムズブティック」での取り扱いです。店内では、様々な商品の試食もできるとあって、遠くからの来客やリピーターが多いことが特徴です。
また、商品は関東以西のパン屋さん等でも販売されています。さらに、FAXやインターネットでの通信販売も人気です。
直営のカフェでは、四季折々のジャムの美味しい食べ方を提案しています。例えば、マーマレードをジンジャーエールで割った「マーマレードジンジャー」は、果実の甘味と酸味を爽やかに楽しめます。東和金時バニラジャムの「お芋ラテ」は、寒い季節にぴったりのやさしい甘さのホットドリンク。そして春には、完熟苺たっぷりの「春いちごスイーツピッツァ」など。
ジャムが作られる場所で、新しいジャムの楽しみ方を知り、多種多様なジャムを選ぶ。瀬戸内ジャムズガーデンは周防大島にあるジャムのテーマパークです。
瀬戸内マーマレード・Tera Terra(テラテッラ)は、「島のお寺で生れた、太陽と潮風の香るマーマレード」です。
ジャムズガーデンのマーマレードづくりは、周防大島の古刹・荘厳寺に始まりました。お寺にあがった柑橘を、「腐らせ てはもったいない」との思いからです。その長年の知識と技術、そして島の農家さんたちと共に工夫を凝らして栽培した材料により、Tera(寺)・Terra(島の大地)は作られています。
山、川でひたすら遊ぶ毎日。漢字テストでは0点も…。
ある日、スーパーでクワガタ虫の販売を見かけ、「これなら自分でも」と直感。クワガタ虫を獲り、空き瓶に入れ、スーパーの前で売ったことがあります。起業家としての第一歩でした。
小学5、6年から剣道クラブに所属。利き腕の右手を骨折したときは、左手で生活するように努力して実現。「やればできる!」という自信が、その後に役立っているように思います。
テニス部部長、生徒会副会長として、リーダーシップが養われました。高校受験では、第一志望に不合格。しかし、これをバネにして、「大学受験こそは!」という強い志を立てました。
普通科に進学。テニス部に所属。勉強では、塾等には行かず、参考書を友に、自分で学びました。これにより主体的に学ぶ習慣と方法が身に付き、大学進学を果たすことができました。
工芸学部電子情報工学科、そして同博士前期課程へ進みました。同期生は大手家電メーカーを目指す者が大半でしたが、モノを作るのではなく、人の暮らしに関わる仕事を求めて、中部電力に就職しました。
入社して5年が経った2000年、会社員としての人生がおぼろげに見え始めた頃。東京では、ITベンチャーが活躍するのを見聞きして、起業への想いが強くなっていました。
ちょうどその頃、規制緩和により、電力会社が電力以外の事業に進出することが認められたのです。新事業を担う人材の育成制度に志願してみると、東京のベンチャー企業・株式会社ビースタイルで、人材派遣事業を、働きながら学ぶ機会を得ました。
その2年間では、主婦の新しい働き方「パートタイム型人材派遣」等の事業立ち上げに携わることができました。
まだ会社員だった頃、フランス・パリのジャム専門店に新婚旅行で訪れました。そのとき、日本とは違うジャムの食文化に触れて感動。「ジャム屋で起業する」と志を立てました。
当初は、実家のある京都の町家(古い商家)でジャム専門店を開業しようと考えました。しかし、「果物の生産地に近い場所でジャムづくりができたら」と考え、妻の故郷である周防大島での起業を決意しました。
2003年に47個のジャムを周防大島の道の駅に卸すことから事業をスタート。翌年には、カフェと売店、製造工場を兼ねた店舗を建てました。そして、2005年からは夏季限定の営業をスタート。2007年には周防大島へ移住して、本格的に事業を展開してきました。
夫婦で始めたこの事業には現在、30名以上のスタッフが関わり、年間180種類、15万本のジャムを販売しています。
特技、得意なこと、得意な教科、得意なスポーツ、好きなこと、続けていること、家族や先生、友達からほめられること、興味のあること …など | 5段階評価 |
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タイミング良く行動する判断力 | ★★★★★ |
他を認め、他を活かす(長所であり短所) | ★★★★★ |
焦らず落ち着いた、立ち振る舞い | ★★★★★ |
農家さんと日本一の手づくりジャム屋をつくる
若手農家が経済的に自立できる、持続可能な地域農業をつくるため
年齢 | 出来事(進学、就職、昇進、転職、起業、結婚、育児、復職、退職…など) |
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45 | 従業員数30名(移住者9名)にて年間15万本のジャムを販売 |
43 | 6次産業化優良事例表彰にて農林水産大臣賞を受賞(2015年) |
41 | 経済産業省「がんばる中小企業300社」選出(2013年) |
39 | 瀬戸内ジャムズガーデンを株式会社として法人化 |
35 | 中部電力を退職し周防大島へ完全移住(2007年) |
33 | 夏季限定にて店舗でのジャム販売とカフェをスタート(2005年) |
31 | 47個のジャムを「道の駅サザンセトとうわ」に卸す(2003年) |
29 | 新婚旅行で訪れたフランスのパリでジャムに魅了される |
24 | 中部電力に入社 |
22 | 国立京都工芸繊維大学大学院に入学 |
18 | 国立京都工芸繊維大学に入学 |
18 | 京都府立南八幡高等学校を卒業(現京都府立京都八幡高等学校) |
15 | 京都府田辺町立大住中学校を卒業 |
12 | 京都府田辺町立松井ケ丘小学校を卒業 |
家庭では子ども達へ、地域や社会、経済等が変化する理由や背景をひも解き、解説するようにしています。例えば、ガソリンの値段が高い、安いというだけでなく、なぜそうなるのかという要因を伝えます。こうすることで様々な事に疑問を持ち、自分なりの答えを持つようになって欲しいと思っています。
〒742-2804 山口県大島郡周防大島町日前331-8
TEL:0820-73-0002
営業時間:10:00~18:00 ※11月末~3月は17:00まで
定休日:水・木