あれから30年。山口県最東端に佇む、母校の油田(ゆだ)小学校の児童は10分の1となり閉校になった。当時、油田小学校6年生だった私は43歳になった。最後のPTA会長(浜田真さん)、町議会議員(栄本忠嗣さん)、私の3人で発起人となりタイムカプセル開封式を開催した。家族のように育った油田小学校の卒業生たちと久々に再会でき、感動的な閉校行事になった。
でも、3週間経った今も、私の心にはぽっかり穴が空いたままだ。12年前に油田中学校が閉校した時、学校存続のために何も出来なかったことが悔しくて、統合先の東和中学校でキャリア教育をボランティアで始めた。地域を舞台に、起業家精神を育むキャリア教育は、この島の未来が決まると確信している。Uターンや起業につながるという仮説はこれから5年で検証できる。株式会社ジブンノオトを創業し収益を出せるようになったのは、東和中学校でお世話になった先生方、受け入れてくれた子どもたちのおかげだ。
けれど、その東和中学校も2021年3月末で閉校した。島内3中学校が統合し周防大島中学校が開校した。先輩からの推薦で初代PTA会長を拝命させていただいたが、授業者としての仕事はなさそうだ。統合中の切り盛りで多忙を極める学校に、新たな提案をして先生方の業務を増やす可能性を考えると遠慮してしまう。川の流れに逆らわず、流れに身を任せようと決めた。周防大島町の学校教育に本業として熱くなる時ではない。今はそれが答えなんだ。
さあこれから、ジブンノオト号はどこを目指すのか。もちろん決めているし、見えている。今は、三度目の旅に出る力をつける時。15歳、35歳、2年後の45歳。そして、その数年後「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」のように。ヒーローズジャーニーになる。三度目の旅を経て、周防大島町の学校教育というステージに帰って来た時、そのステージから島全体を眺められるだろう。このステージをつくるために、遠回りのような最短コースで明日も歩いて行く。
100年続くふるさとをつくるために。